スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

チンパンジーに記憶を移植された少女の物語『エヴァが目ざめるとき』

エヴァが目ざめるときエヴァが目ざめるとき
(1994/08)
ピーター ディッキンソン

商品詳細を見る

『エヴァが目ざめるとき』は、事故にあった少女が記憶をチンパンジーに移植されることにより生きてゆくというSFファンタジー小説。

母親は変わり果てた娘の姿に衝撃を受けるが、父親がチンパンジー研究家で幼い頃からチンパンジーと慣れ親しんで育った少女は、現実を受け入れチンパンジーの体に残っているチンパンジーの本能と折り合いをつけてゆく。

この小説の設定は自然環境がほとんど残っていない未来という設定になっている。だからチンパンジーの群れも野生には存在せず人間に保護されている。ところが人間は滅亡のときが近づいており、チンパンジーたちは独り立ちを余儀なくされることになる。

そこで登場するのが金持ちの道楽息子のグロッグだ。深い洞察力を持つ彼はエヴァの信頼を得るとともに彼女を導きチンパンジーたちに未来のために協力する。

グロッグを中心とした登場人物の発言が現代社会批判になっている。

人類全体がどんどん短絡的にものを考えるようになってきている。頭のいい若者は研究なんかしない。投資家たちはすぐに見返りが得られないものには一銭だって出そうとしない。政府も研究機関も、基礎研究には金を出さない。宇宙開発からも手を引きかけている。まだまだある。とにかく、なにもしようとしないんだ。人類はあきらめかけているんだよ。なにもかも放り出そうとしているのさ。

本物の破滅が近づいてる。どういう形の破滅であれ、おれたち人間は限界を越えようとしているんだ。

きみやステファンやほかの仲間がなんのために生まれたのか。それは、きみたちがチンパンジーに生きる術を教えられる存在だということだ。自然は、種が滅びることをよしとしない。できるものならチンパンジーを救おうとするだろう。だからこそ、きみは生まれ変わったんだよ。

世界中どこせにそうなんだ。橋を架けることもできないし、太陽電池を交換することもできない。道路でさえ直せないんだ。人々は税金を払わない。投資もしなければ、貯金もしない。農場で人手が足りなくて種まきができない地方もあるそうだ。


少女がチンパンジーとなってしまった自分の姿を嘆いたり、自分は人間なのかチンパンジーなのかなんてことで悩んだりしないのが清々しい。それよりも、チンパンジーの群れに中に溶け込んでいこうとする少女の知恵と勇気が読んでいてワクワクする。ジュブナイルSFということだが、大人が読んでいても気持ちのいいSFだった。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kaz

Author:kaz
本がとにかく好き。あとはテニス、映画、音楽、デジタル・ガジェットも。iPadラブ。

全記事(数)表示
全タイトルを表示
人気エントリー
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。