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宮部みゆきの『名もなき毒』すごく面白かった!

宮部 みゆき
文藝春秋 2011-12-06
¥ 890
宮部みゆきの『名もなき毒』が文庫本になって本屋さんの平積みにあったので読んだ。同じシリーズの前作である『誰か』があまり印象に残っていない作品だったのでそんなに期待していなかったのだが、すごく面白くて600ページ弱ある本を一気読みした。とにかく登場人物の心情の表現が上手い。

主人公は巨大コンツェルンのお嬢さんと結婚した逆玉の編集者なのだが、結婚の条件として経営に関与しようとしないことが条件になっている。このあたりの屈折した心情が一人称で語られる物語のベースにあってちょっとせつない。

ストーリーは、主人公の勤務先である社内報の編集部で働いていたアルバイトの女性社員がトラブルを起こして辞め、その後も執拗な嫌がらせを仕掛けてくる事件と、青酸カリのコンビニ商品への混入による無差別殺人事件とが同時進行する。主人公はその2つの事件に関わって翻弄される。

この作品のテーマは、一見普通の人のように見える人物が持っている『毒』が他人への攻撃を生むのだということ。たしかに我々に身の回りには思いもかけない悪意を持った人がいる。その怖さをこの作品は上手に描き出している。

終盤にかけて2つの事件は一気に解決するのだが、その収束の仕方が見事。伊坂幸太郎の小説もバラバラの事件が終盤で一気に収束するのが特徴だけど、伊坂幸太郎のが論理的な収束だとするとこちらは感情的な収束。宮部みゆきはどんどん上手くなるなぁ。

湊かなえや沼田まほかるなど女流作家の作品って人間のドロドロしたところが描けてて上手いなあとは思うんだけど、僕には読後感の悪さがちょっとしんどい。宮部みゆきも同じように人間のドロドロしたところを描いているのに読後感はすっきりしている。普通の人が持つ『毒』をテーマにしていながら、主人公やその周りの人は全然ドロドロしていなくて、それとなく善対悪の構図になっているのが心地いいのかもしれない。

いずれにせよとても面白い作品で、元々、宮部みゆきの小説はほとんど好きなんだけど、なかでもかなり上位に入る面白さだった。『火車』や『理由』もストーリーテラーぶりを発揮して凄く面白かったけど、『模倣犯』の続編である『楽園』や本作はストーリーテリングの上手さに人情味も加わってエンターテイメント小説として最強になった気がする。

宮部みゆきはスティーブン・キングが好きで、『クロスファイア』はスティーブン・キングの『ファイア・スターター』へのオマージュだし、『ブレイブストーリー』は『タリスマン』へのオマージュだと思われる。これだけ上手くなったんだからスティーブン・キングのSFじゃないナチュラル・ホラー作品へのオマージュを書いてくれないかなぁ。

宮部 みゆき
文藝春秋 2010-02-10
¥ 700

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本がとにかく好き。あとはテニス、映画、音楽、デジタル・ガジェットも。iPadラブ。

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