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デフレの正体

デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
(2010/06/10)
藻谷 浩介

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『デフレの正体』は日本政策投資銀行の藻谷浩介さんの本で、数字によって裏付けられた日本経済の実態とその処方箋が書かれている。

藻谷さんの主張は

経済を動かしているものは、景気の波ではなくて人口の波、つまり生産年齢人口=現役世代の数の増減だ

というもの。

実際の経済統計データを用いて、新車販売台数、小売販売額、雑誌書籍販売部数、貨物総輸送量などが景気とは関係なく長期的に減少が続いていることを示し、日本は「内需不振」という病気に犯されているとする。その背後には、失業者の増加ペースや若者の流出ペースを大きく上回る就業者の減少があり、さらにその背景には総人口の減少のペースを大きく上回る生産年齢人口の減少があると結論付けていく。

そして、

「人口ボーナス」や「人口オーナス」と呼ばれる「生産年齢人口の波」は景気の波を簡単に打ち消してしまう威力がある。景気循環に対処するための各種方策はこれにはまったく通用しない

と、藻谷さんは主張する。

問題意識として

2010ー2015年には史上最大勢力の団塊世代が65歳を超えます。(中略)彼らのほとんどが最終的に無職になっていくこれからの5年間こそ日本が史上最大の「人口オーナス」を経験する時期となります。


ただし

生産年齢人口減少局面においては、従業員を減少し生産性を上げるという行動は、経済成長に結びつかない。


だから

日本の産業は、付加価値額を上げる方向に、人減らしではなく商品単価向上に向け努力すべきなのです。その結果として生産性が上がるのです。

「生産性を上げろ」「経済成長率を上げろ」「公共工事を景気対策として増やせ」「インフレ誘導をしろ」「エコ対応の技術開発でモノづくりのトップランナーとしての立場を守れ」などの話は実効性に欠ける。

と主張。

藻谷さんが提唱する対応策は

Ⅰ生産年齢人口が減るペースを少しでも弱めよう
Ⅱ生産年齢人口に該当する世代の個人所得の総額を維持し増やそう
Ⅲ(生産年齢人口+高齢者による)個人消費の総額を維持し増やそう

その具体策としては

①高年齢富裕層から若い世代への所得移転
②女性就労の促進と女性経営者の増加
③訪日外国人観光者・短期定住客の増加

としている。

このあとの具体策の詳細な説明のなかで一番印象的だったのは

あなたの目の前に、教育水準が高くて、就労経験が豊富で、能力も高い日本人女性がこれだけいるというのに、どうして彼女らを使おうとせずに、先に外国人を連れてこいという発想になるのか。日本人女性が働くだけで、家計所得が増えて、税収が増えて、年金も安定する。(中略)しかもこれは、外国人労働者を導入するのと違って、全然追加的なコストがかからない話です。

確かに!僕も単純に移民を受け入れればいいと思っていたけど、コストを考えると女性の活用が確かに一番効率がいいし実効性があると思う。

この本の主張は全体としてかなり納得のいく内容。それぞれの主張に数字の裏づけがあって説得力があった。さすがに講演で何度も繰り返した内容なんだろう。よくこなれていると思った。ただ、企業努力を促すためのインセンティブには若干欠ける主張があったように思えた。

主張以外でとても参考になったのは藻谷さんの統計データの扱い方。
例1.貿易収支のように、前年同期比で減ったように見えても、絶対額の数字を見ればまだまだ高い水準にいる
例2.沖縄の失業率は比率だけで見れば上がっているが、分母と分子に分解すると分母が増加しているので就業者の絶対値は上がっていてそちらのほうが景気への影響は大きい
など、前年同期比や比率のみで経済統計データを見がちだが、それに併せて絶対額やその水準を見ることも重要だと実感した。

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