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『キュレーションの時代』

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)
(2011/02/09)
佐々木 俊尚

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佐々木俊尚さんの本は、『仕事するのにオフィスはいらない』、『ネットがあれば履歴書はいらない』、『電子書籍の衝撃』など読んだが、どの本も実際に佐々木さんがウェブの最前線の現場に身を置いて書かれているので刺激的でとても面白い。

この『キュレーションの時代』もソーシャルメディアにおける「キュレーション」というものの役割について自身で実践しつつ書かれた本なのでとても説得力がある。また「キュレーション」の実例となるような音楽や美術についてのエピソードも豊富で感覚的にもわかりやすく書かれている。

本書では、まずジョゼフ・ヨアキムという画家やエグベルト・ジスモンチというブラジルのミュージシャンの例を挙げて「キュレーション」の大まかな姿を示した後、消費活動や情報収集の変化について説明する。

消費活動については、テレビや新聞、雑誌などのマスメディアからの情報による「記号消費」の時代は終わり

消費さえもが不要である無所有の方向性。「つながり」を求める場はモノの購入ではなく、何かを「行う」という行為へと変移していくことでしょう。

とし、情報収集については

他者の視座にチェックインして、その人たちの視点で世界を見ていくと、鮮やかな新情報が次々と流れ込んでくる。

視座にチェックインし、視座を得るという行為。これはあなた自身の視座とはつねにずれ、小さな差異を生じ続けます。「あなたが求めている情報」と「チェックインされた視座が求めている情報」は微妙に異なっていて、そのズレは収集された情報につねにノイズをもたらすことになります。そしてこのノイズこそが、セレンディピティを生み出すわけです。

とする。

この消費活動と情報収集の変化は

人のつながりによってこそ、私たちは情報を的確に受け取ることができる。そしていま私たちは、モノの消費よりも人のつながりを求めている。これは消費社会と情報社会を大統合させる大きな流れなのかもしれません。

と結論付ける。

そういう時代において

この「視座」を提供する人は今、英語圏のウェブの世界では「キュレーター」と呼ばれるようになっています。そしてキュレーターが行う「視座の提供」がキュレーション。

とし、自分の価値観や世界観に基づいて情報を取捨選択するだけにとどまらず「コンテキスト」を付与して新たな情報を生み出すものとしている。


僕の問題意識としては、ソーシャルメディアが一部のアーリーアダプターだけではなく一般に受け入れられ社会にとって有益なものとなるには、そこで流れる膨大な量の情報についての真贋、質、重要度の判定というフィルタリングができるかどうかが鍵ではないかと思っている。

Twitterでは、好ましくない発言をする相手をアンフォローやブロックできるという機能とそれが許される文化とが相まって仕組みとしてのフィルタリングの役割を果たしているし、Facebookでは実名主義やリアルの知人を「友達」とすることがフィルタリングの役割を果たしている。

これらは佐々木さんのいう「キュレーション」のプリミティブな形だったのではないかと思う。今後、ソーシャルメディアが本当に社会にとって有益なものとなっていくためには、「コンテキスト」という付加情報も含め自覚的に「キュレーション」する人が増え、情報収集を行う側も意識的に「キュレーション」を利用していく必要があるだろう。さらには「キュレーター」を評価する仕組みも必要になってくるのかもしれない。

あと「キュレーション」の例として複数あげられている中で、僕が一番興味深かったのは、子供の頃には知的障害者施設に預けられ、晩年には清掃人として孤独に暮らしていたヘンリー・ダーガーのゴミの山のような部屋から見つかった『非現実の王国で』というファンタジー作品。誰に見せる目的でもなく自分のためだけに書いた作品。

ダーガーが描いたのは、決して無垢なファンタジーではありません。独自に切り開いた得意な文章表現力で、凄惨なシーンをも延々と描き続けました。その凄惨な描写と可愛らしい挿し絵の組み合わせは不思議な、決してだれにも真似のできないひとつの世界を作り上げていて、だからこっそこれはまさにアートそのものと言えるのです。

こういうレアなものを見い出してコンテキスト込みで興味を喚起させるように教えてくれるのが「キュレーション」なんですね。納得。

ヘンリー・ダーガー 非現実の王国でヘンリー・ダーガー 非現実の王国で
(2000/05)
ジョン・M. マグレガー

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・『佐々木俊尚さんのセミナーのメモ』
http://kaz1116.blog84.fc2.com/blog-entry-39.html

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