スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『ハローサマー・グッドバイ』はSF青春恋愛小説の金字塔

ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)
(2008/07/04)
マイクル・コーニイ

商品詳細を見る

『ハローサマー・グッドバイ』はSF史上屈指の青春恋愛小説と評価されているマイクル・コーニーの1975年の作品。昔、出ていたサンリオ文庫版は絶版となり一時Amazon等で高値で取引されていたらしい。今は、河出文庫から新訳が出ており普通の値段で読める。河出文庫版はサンリオ文庫版より装丁が素敵だ。ワンピースを着た可愛い女の子のイラストで、SF恋愛小説の最高峰との期待を盛り上げてくれる。

前書きで作者は

恋愛小説であり、戦争小説であり、SF小説であり、さらにもっとほかの多くのものである

とコメントしており、実際その通りの内容。

主人公はドローヴで、政府高官の父にいつも反感を持ち母親のことはバカにしている典型的な反抗期の少年。毎年夏休みには避暑ならぬ悲寒のためにパラークシという気候が暖かい港町に滞在している。この惑星(地球ではない)は寒さに覆われており、「fuckin'」みたいな感じで「フリーンジング」という形容詞が使われているほど寒さが忌み嫌われているという設定。

この本の前半は、夏休みに訪れたパラークシで主人公がブラウンアイズという可愛い女の子と出会って恋に落ちるという恋愛小説。ところが中盤から話は急展開し、起こりつつあるこの惑星の大きな環境変化に対応して自分たちだけが生き残ろうとする政府高官たちと一般大衆との争いに変わってくる。最後にドンデン返しがあり、やっぱりSF小説だったんだなと納得。

主人公のドローヴァはいかにも思春期といった感じで、『ライ麦畑でつかまえて』を思い出させる。それより魅力的なのは、主人公が好きになるブラウンアイズですごく魅力的に描かれている。最初は純情可憐そのもので、そのあとは時々拗ねてみたり、だんだん小悪魔的になったり。誰だってイチコロでしょ。

最後のドンデン返しは伏線もしっかりしてるしSFの論理としてはちゃんとしているけど、それによるカタルシスは感じられなかった。だから単なるSF小説としてはそんなに印象的なものではないけれど、SFと青春恋愛小説とのハイブリッドなジャンルを開拓したという意味ではとても素晴らしい小説だと思う。特に恋愛小説部分の甘酸っぱい描写が切なくて懐かしさを感じさせる。

最近、文庫本はいい作品でも少し見ないでいると何時の間にか絶版になっていることが多い。この作品も絶版になって読みにくくなってしまう前に読んでみることをお勧めします。


コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kaz

Author:kaz
本がとにかく好き。あとはテニス、映画、音楽、デジタル・ガジェットも。iPadラブ。

全記事(数)表示
全タイトルを表示
人気エントリー
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。