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『13日間で「名文」を書けるようになる方法』

13日間で「名文」を書けるようになる方法13日間で「名文」を書けるようになる方法
(2009/09/04)
高橋 源一郎

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『13日間で「名文」を書けるようになる方法』は高橋源一郎さんが明治大学で行っている講義を記録したもので、高橋源一郎さんが例文を出し、それと同じジャンルの文章を学生に書かせて、学生に感想を述べさせるという形式をとっている。そして、そこには明白な結論は提示されない。色んな考え方や捉え方がある事を高橋先生は示唆するだけ。サンデル教授の「正義」についての講義と同じような印象を持った。

タイトルには『13日間で「名文」を書けるようになる方法』とあるが、「あとがき」にもあるように、この本は「名文を書けるようになる方法」については書いていなくて、「文章ってなんだろう」ということを考えさせる本だ。そして、文章を書くために必要な「考えること」についても考えさせてくれる。

なるほどなと感心したのは、子どもが両親のセックスの現場を見て「パパがママをイジメていた」と子どもがいったという例で、子どもがそういった理由は、我々が普段見逃しているセックスという行為の中にある非対称な関係を見い出したのだと説明する。つまり、

子どもにそれができて、おとなである我々に、それができないのはなぜでしょう。
それは、わたしたちが既に社会的な「視線」でしか「見る」ことができなくなっているからです。
社会的な「視線」とは、社会が自分の中に抱え込んでいる問題や矛盾を、人びとに気づかせなくするために、人びとの目にかけた、社会的な「サングラス」です。

たしかに、我々のモノの見方は、知らず知らずのうちに固定観念に囚われていることが多々ある。固定観念という「サングラス」を外して物事を見るということを意識的にする必要があるのだろう。

あと、学生が感想求められて答えられなかった時に、

答えを求められて、それが難しい、と考えてしまう理由の第一は、答える相手がどんな答えを求めているかわからないからです。

と学生を諭す。素晴らしいですね。たしかに若者がまともな返答をしない理由ってこういうことが多い気がする。普通なら「なんで答えないんだ!なんでもいいから何か答えろ」ってなっちゃうけど。さすがだね高橋先生。

授業の初日に先生が紹介したスーザン・ソンタグの「自分についてはまったく、または、少なくとももてる時間のうち半分は、考えないこと」という言葉について

ソンタグが、あえて、そんなことをいったのは、人間というものは、放っておくと、自分のことしか考えない、あるいは考えられないからです。そして、そのことによって、人は、狭い世界に閉じ込められたままになってしまうのです。

その一例として、インターネットでの中国人や在日韓国人への罵倒についても

中国人や在日韓国人について、なにかをいいたいなら、とりあえず、自分が、その、中国人や在日韓国人だとしたら、どう考えるだろう、というところから始めるべきなのです。なにかを対象にして考える前に、自分もまた、誰かにとっての、そのような対象ではないか、と考えてみるべきなのです。

と教える。全体を通して、高橋源一郎さんは考える際の視点の置き方を強く意識していると感じた。

13日間の講義のうち9日目は実際に休講となった。その休講の間の宿題は「もし、1日しか記憶がもたないとしたら、という仮定の下で、1日分の日記を書いてくること」だった。休講明けの10日目に、休講の理由は高橋源一郎さんの2歳9ヶ月の息子さんが急病になり「小脳」にダメージを受け、言葉が満足に話せなくなるということがあったからということがわかる。その後、休講の間に出された宿題を学生が読み始めるんだけど、高橋源一郎さんの家族に現実に起こったことと宿題のテーマがないまぜになり、なんだか知らないけど泣けてしまった。

この本のタイトルは釣りっぽいけど、逆にこの本にはそれ以上のものがあると思う。特に若者は、文章を書く以前の考えることについて大切なことが学べるんじゃないかな。大学の授業でもただ知識を詰め込むだけのものは多いけど、本来、高橋源一郎さんやサンデル教授のように、学生に色んな考え方があるということを教え、自分で考えさせたり感じさせたりするのが理想なんだと思った。

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この本

書店で見て、素通りしてしまった本だ。
まだ売ってるかなあ。
是非仕事に役立てたいと思いました。

Re: この本

全然大丈夫だと思いますよ。

ただブログにも書いているように「名文」とは関係がない本です。

No title

そうそう。
名文なんてわたしには関係ない!と思って素通りしたの。

では、近いうちに書店に行くかな♪
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Author:kaz
本がとにかく好き。あとはテニス、映画、音楽、デジタル・ガジェットも。iPadラブ。

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