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『フェイスブック 若き天才の野望』は超面白本

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)
(2011/01/13)
デビッド・カークパトリック

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『フェイスブック 若き天才の野望』はかなり分厚い本だがそれを忘れるくらいめちゃくちゃ面白い。前半は野心にあふれた若者のサクセスストーリー、後半はフェイスブックを代表とするソーシャル・ネットワークとは何かおよびソーシャル・ネットワーク・マーケティングの教科書になっていて、示唆に富んだ内容の本で非常に読み応えがある。

【サクセスストーリー】
この本の前半は、コンピュータおたくの野心にあふれた若者のマーク・ザッカーバーグが大学の寮の一室でアイデアを思いつき、紆余曲折を経ながらも成長するとともにフェイスブックが急速に大きな成功への道を歩む姿を描いている。

印象的だったのは2点で、1点はマーク・ザッカーバーグの一貫した姿勢だ。彼は最初から金持ちになることには全く関心を抱いておらずフェイスブックを成長させて世界を変えるということにしか興味がない。大成功をおさめた今でも質素な家に住み、Tシャツ、ジーンズにサンダルというスタイルを変えていない。

「われわれは世界を変えるんだ」とザッカーバーグがよく口にしていたのを、ブラックは覚えている。「ザ・フェイスブックは世界をもっとオープンな場所にできる」。後年、彼はこの言葉を何度も何度も口にすることになる。

「マークは『ちょいと頑張ってひと儲けしよう』などとは考えていなかった。手っ取り早い儲け話など眼中になかった。それどころか『永続的な文化的影響を与えるようなサービスを建設して世界を征服しよう』と望んでいた」
(ショーン・パーカーの回想)

ザッカーバーグは、サイトのスムーズなユーザー体験を少しでも損なう可能性があれば、たとえどれほど有利な条件の広告であろうと一切許可しなかった。

「ザ・フェイスブックの最終目的は人々が自分の置かれた世界をよりよく理解するための手助けとなることだ」
(ザッカーバーグ)

「われわれにフェイスブックを売らないか?大金持ちになれるぞ」
「今ぼくのアパートを見ただろ。金は要らないんだ。どっちにしても、これから一生かけても、フェイスブックみたいな良いアイデアは二度と思いつけないだろう」
(ザッカーバーグの質素な家を訪れたあとのバイアコムのマイケル・ウルフとザッカーバーグの会話)


2点目はマーク・ザッカーバーグを取り巻く人々だ。フェイスブックが名だたるベンチャー起業家と出会い彼らを魅了し巻き込んでいく過程にワクワクさせられる。以下のような人物がザッカーバーグとフェイスブックに深くかかわる。
  • ショーン・パーカー:ナップスターの創立者
  • リード・ホフマン:リンクトインの創立者
  • ピーター・シール:ペイパルの創立者
  • マーク・アンドリーセン:ネットスケープの共同創業者
  • マーク・ピンカス:トライブの創立者で後にジンガの創立者

またワシントン・ポスト紙のCEOのドン・グレアムとの出会いも印象的だ。アメリカを代表するビジネスマンの一人であるドン・グレアムがザッカーバーグからフェイスブックの話を聞くなり

「すぐにとてつもなくすばらしいビジネスのアイデアだとわかったね」

と見抜く。そしてそれがワシントンポスト紙のビジネスをウェブ化しようとする努力のきっかけになったという。ザッカーバーグのほうも以降、グレアムを敬愛しマネジメントの師と仰ぐようになる。

フェイスブックの仲間たちもザッカーバーグと同じように才能を持ち成長して、フェイスブックを離れた後、成功する。
  • 高校時代からの友人アダム・ダンジェロ:クオラを立ち上げ
  • ハーバードのルームメイトのクリス・ヒューズ:オバマの大統領選挙戦のオンライン戦略チームの幹部
  • ほんの数週間いただけで新会社を作るといって辞めていったスティーブ・チェンが作った会社はユーチューブ

【広告としてのフェイスブック】
フェイスブックはザッカーバーグの理想主義的な考え方もあり長らく収益不足の状態が続くが、そのポテンシャルは以下のように注目されるところだった。

「テクノロジーに詳しく、若く知的な消費者は次第に伝統的なマスメディア広告を見なくなっている。彼らのアイデンティティーは今やオンライン・コミュニケーションにある」
(世界第3位の巨大広告代理店インターパブリック・グループCEOのマイケル・ロス)

実名制に基づく確実な身元情報とその個人に結びついた膨大な情報が組み合わさって、ザ・フェイスブックにはそれ以前のインターネットサービスでは不可能だったユーザーに対する深い洞察を提供することができた。

「メディアはかわります。ここまでの100年間を規定してきたのはマスメディアでした。これからの100年間、情報はただ人々に押しつけられる物ではなくなります。人々の持つ何百万というつながりの中で共有されるのです…。信頼できる友だちから勧められることほど、人に影響を与えるものはありません。信頼できる紹介者は、広告の至高の目標なのです。」
(会社として初めての広告業界のための大型イベントでのザッカーバーグ)


フェイスブックの収益性が大幅に向上したのは元グーグル幹部のシェリル・サンドバーグのフェイスブックへの加入によるところが大きい。彼女がフェイスブックにジョインして収益化についての議論を始めた結果たどりついた、フェイスブックの持つ、機会を明確化し差別化するための重要な特質は

グーグルは、ユーザーが欲しいとすでに決めているものを探す手助けをする。これに対してフェイスブックは、ユーザーが何が欲しいかを決める手助けをする。(中略)グーグルのアドワーズ検索広告は「要求を満たす」。対照的に、フェイスブックは要求を生み出す。グループはそう結論を出した。

この時点以降バナー広告にかわってエンゲージメント広告が主流となる。

「エンゲージメント広告は、インターネットの力をてこにして、マーケターと聴衆の対話を可能にした。これは従来のウェブ上のバナー広告とは大きく異なる。あれは、広告主たちがテレビと印刷媒体で50年間やってきたことーユーザーの体験を恋に中断させるーだ」
(広告マーケターのダン・ローズ)

「われわれはどこよりも質の高い情報を持っている。性別も年齢も場所も知っている。しかもこれは本物のデータであって、誰かが推論したものではない」(中略)フェイスブックのユーザーは、自分たちに関する膨大な量のデータを自発的に提供した上、グループやファンページでほかのユーザーと交流するなど、サイト上での行動を通じてさらにデータを生み出す。フェイスブックは、データベースの中でこのすべてを追跡し、広告の配信に使う。
(シェリル・サンドバーグ)


【世界の仕組みを変える】

ザッカーバーグはハーバード時代から終始、フェイスブックは金儲けやただ会社を作ることには興味を示さず世界を変えることだけを望んできた。

「フェイスブックは国や年齢を問わずあらゆる人々のためにあります。周りの人たちに関する情報を与えることで人々の間の共感が増すはずです」


またザッカーバーグは「贈与経済」について

「これは多くの発展途上国における市場経済に代わる興味深い選択肢です。ぼくが何かを供出して誰かにあげると、義務感からか寛容さからか、その人はお返しに何かをもくにくれる。文化全体がこの贈与経済の枠組みの上で成り立っている。こうしたコミュニティを束縛しポトラッチを有効にしているのは、コミュニティが小さくお互いの貢献が目に見えるという事実だ。ただし、これらの社会がひとたび一定の規模を超えると、システムは破綻する。人々は起きていることを全部見ることができなくなり、ただ乗りが始まる」ザッカーバーグは、今やフェイスブックやインターネット上のほかの勢力は、贈与経済が大規模で機能していくのに十分な透明性を生み出していると言う。
「もっとオープンになって誰もがすぐに自分の意見を言えるようになれば、経済はもっと贈与経済のように機能し始めるだろう。贈与経済は、企業や団体に対してもっと善良にもっと信頼されるようになれ、という責任を押しつける」

「本当に政府の仕組みが変わっていく。より透明な世界は、より良く統治された世界やより公正な世界をつくる」これは、彼の核心をなす信念である。


国務省の重要政策立案スタッフとしてライス国務長官にスカウトされたジャレット・コーエンはフェイスブックのことを

「フェイスブックは世界で史上最も有機的な民主化支援ツールのひとつです」

と評している。

【まとめ】
フェイスブックはザッカーバーグの頑固なまでの理想のもとに進化を続けてきた。ユーザー対象はハーバード大学から全国の大学へ、高校へ、一般への開放。ただの写真付きのプロフィール機能からソーシャル写真、ニュースフィード機能、プラットフォーム化、ファンページの導入、エンゲージメント広告の導入。それに伴ってユーザー数とその滞在時間は等比級数的に増加した。

このようなフェイスブックの成長とそれを中心としたソーシャル・メディアの発展過程をつぶさに俯瞰できる本書は非常に興味深い。しかもそれは今まさに現在進行形で動き続けているエキサイティングな現象で、幸運にもそこに居合わせた我々はこの流れを楽しみつつ参加していくしかないと思う。本書はそのためのガイドブックとしても最適なんじゃないかな。

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