『仕事は楽しいかね?』は読むと元気が出る不思議な本。
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『仕事は楽しいかね?』は読むと元気が出る不思議な本。帯には勝間和代さん推薦の本とあり、単なる自己啓発の本にも見えるが、それだけではなくアイデア発想法の本でもある。
小説仕立てになっていて、起業に失敗した経験を持ち今の仕事に行き詰まりを感じている主人公が、雪で閉鎖になった空港で出会った老人から人生や仕事への取り組み方についての一晩の講義を受けるというストーリー。
老人は一般の自己啓発書にありがちな「目標の設定」や「ポジティブな姿勢」などを否定し
と教える。目標を設定すると自己管理ができているような気がするが、人生なんて思い通りにはならないという。そして試してみることに失敗はない
というのをたった一つの目標とすべきだ。毎日毎日、違う自分になるためには試行錯誤を繰り返さなければならない。手当り次第にあれこれやってみる。それを実行するのは大変だけど、わくわくするし<活気に満ちた>方法でもある。明日は今日と違う自分になる
人生は進化だ。そして進化の素晴らしいところは、最終的にどこに行き着くか、まったくわからないところなんだ。
この辺りは以前ブログで紹介した藤原和博さんの『さびない生き方』の「修正主義」や南壮一郎さんの『絶対ブレない「軸」のつくり方』とも合い通じるところがある。
関連記事
『さびない生き方』
http://kaz1116.blog84.fc2.com/blog-entry-15.html
『絶対ブレない「軸」のつくり方』
http://kaz1116.blog84.fc2.com/blog-entry-31.html
そしてイノベーションにおいてもコカ・コーラやトールハウスのチョコチップ・クッキーやリーバイス・ジーンズの例を挙げ、「試行錯誤を繰り返すこと」の重要性を説く。
「何もするな、そうすれば素晴らしいアイデアがやってくるだろう」じゃない。
「<あらゆること>をしろ。素晴らしいアイデアは、どこからやってくるかわからない」ですね。
どのアイデアが最終的に実を結んで、どのアイデアが実を結ばないか、確かめる方法なんてないんだから。できるかぎりいろんなことをとにかくやってみること。そうすれば、そのアイデアがまた別のアイデアを引き寄せる。始めさえすれば、新しいアイデアのほうからきみのもとへ近づいて、飛びついてくるんだ。
さらに、素晴らしいアイデアを見逃さないことが大事だと言う。同じ現象を目にしてもその重要性に気づかず見過ごしてしまうことはよくあることだ。
ただいろんなことを楽しくやって、新しいことを試してみて、いつもしっかり目を開けておいてほしいってことなんだ。
ティナ・シーリグの『20のときに知っておきたかったこと』でも同様な主張がされている。
関連記事
ティナ・シーリグ氏初来日講演会
http://kaz1116.blog84.fc2.com/blog-entry-25.html
具体的なアイデアの出し方については、①問題点のリスト、②仕事に関してやっていることすべてのリスト、③仕事上でやったミスのリストを書き出して、<試す>ためのアイデアを生み出すことを勧める。
①「問題点のリスト」では
困難というのは、一つひとつが実地演習を始める合図だ。試すことは、一つひとつが世の中への問いかけだ。答えというのは、一つひとつが旅だ。
②「仕事のリスト」では
例としては、テレビと雑誌というアイデアを結びつけてテレビ版の雑誌というテレビの新番組を考えだしたTVプロデューサーのケースがあげられている。新しいアイデアというのは、新しい場所に置かれた古いアイデアなんだ。
③「ミスのリスト」では
ミスというものは隠そうとしがちなものだ。だけどきみはミスを目の前に並べて、しっかり調べないといけない。恥だと思ったり、怒りを覚えたりすることなく、だよ。」
「だれかがへまをやらかしたら、必ず別のだれかが『ポスト・イットを思い出せ!』と叫ぶんだ。するとみんなが、一つの事業にまで発展したスリーエムの不完全な接着剤のことを思い出し、何か役に立つことが思いがけず見つけ出せないかとその過ちのことをじっくり検討し始める。
本書は、人生や仕事への取り組み方からアイデア発想法まで首尾一貫して「試行錯誤」が重要だと教えている。人生もアイデアもあらかじめ計画なんて立てることができない、楽しみながらいろいろトライし続けることが成功への近道だと説く。ルーティーン・ワークに安住しロボット化しやすい我々にとって刺激と元気を与えてくれる一冊と言える。
最後に、小説としては、行き詰まっていた主人公はやる気を取り戻し、老人の教えに従って社内でアイデアを量産し評価され昇進する。しかしその後、主人公は昇進したために職場の人間関係について悩みだす。それを解決するのは本書の続編の『仕事は楽しいかね?2』でのお話となる。
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