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湊かなえの『夜行観覧車』

夜行観覧車夜行観覧車
(2010/06/02)
湊 かなえ

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『夜行観覧車』は湊かなえの小説。展開が巧くて一気読みした。発端は高級住宅街で起こった裕福な家庭の妻による夫の殺人事件で、その後、いろんな人の視点から事件が語られていき、だんだん真相に近づいていくというもの。

話の構成は視点が章毎に変化していくというもので、湊かなえの出世作の『告白』と似ている。『告白』が処女作らしからぬ(正確には一部が処女作)巧さだったけど、この小説でも同様に小説作りのテクニックの巧さを感じる。ただ、一気読みした読後感があまり良くない。

同じ「家庭内暴力」を扱った作品だったら、天童荒太の『家族狩り』のほうが圧倒的な迫力と重さで強烈な読書体験を残してくれる(これが嫌だという人もいますが)。また、小説のテクニックが巧い作家だと伊坂幸太郎や乙一がいるが、伊坂幸太郎だったらお気楽でポジティブな登場人物たちのおかげで温かい読後感があるし、乙一だったら「よくもこんなことを考えついて表現できるな」という驚きを与えてくれる。

湊かなえの場合は、邪悪な感情や卑しい感情を持つ人物が多く登場する。読後感が悪いのはそのせいかもしれない。それは女性作家独特のリアリズムかなとも思うが、一冊読むと食傷気味になる。『告白』のときはそれがそんなに全面には出ていなかったが、本書はそれが前面に出てしまった格好だ。

そういう風に感じるのは、僕が「悪v.s.正義」もしくは「邪悪な感情・卑しい感情v.s.高貴な感情」という古典的な構図を無意識に望んでいるためかとも思う。。この本に感じる邪悪な感情や卑しい感情についてのリアリティは女性ならではの視点で、もしかしたら女性が読んだら感想は違うのかもしれない。

幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)
(2004/01)
天童 荒太

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「夜行観覧車」湊かなえ

父親が被害者で母親が加害者。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明...

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No title

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