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『首長パンチ』を読んでちょっと考えた

首長パンチ--最年少市長GABBA奮戦記首長パンチ--最年少市長GABBA奮戦記
(2010/12/08)
樋渡 啓祐

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『首長パンチ』は佐賀県武雄市の現職市長、樋渡啓祐さんの自伝。

一時話題になった日本Twitter学会の武雄市での開催は奇をてらった村おこし的活動かと思っていたが、その後の市役所全職員へのアカウントの配布や地域の高齢者へのTwitterの普及には「本気だったのか」とびっくりさせられた。

市役所にフェイスブック係ができる:日経ビジネスオンライン




全職員にツイッターのアカウントを配布した:日経ビジネスオンライン




ツイッターが結んだ縁:日経ビジネスオンライン




ツイッターが変えた被災後の情報伝達:日経ビジネスオンライン




フェイスブック係を作る市長:日経ビジネスオンライン




Twitterを使って孤独になりやすい高齢者に人とのつながりをもたらすというのは、ソーシャル・ネットワークのポジティブな利用方法の最たるものじゃないかと思う。

ということで、そういったソーシャル・ネットワークの利用を仕掛けている武雄市長の樋渡さんにはとても興味があり、かなりの期待を抱いてこの本を読んだ。

ところが、かなりがっかりの内容だった。36歳で市長になった樋渡さんの活躍の話と思いきや、本のほとんどは、財政悪化でにっちもさっちもいかなくなった市民病院の再建を巡る利益団体との泥沼化した戦いの記録だ。市の将来のために尽力している市長に対する、利益団体の度重なる攻撃と裏切り。

多分、これが現実なんだろう。この本に出てくるような自分たちの利益のためだけに政治的行動をする利益団体でがんじがらめになってしまっている政治。小説や映画なら強烈なカリスマや凄いアイデアでそんな奴らをばっさり切り捨てて大団円になるんだろうけど、現実は違うんだな。

でも、樋渡さんを筆頭に地域や日本を良くしようとする若い政治家が多くなっているのも事実。政治家頼みにするのではなく、普通の人々も小さくてもいいから行動を起こすべきなんだろう。そしてそれをサポートするような仕組みやサービスがもっと出てきてもいいとも思った。

たとえばこんなサービス
ONEは忙しい人が携帯から簡単に政治に参加できるiPhoneアプリだ


『世紀の空売り』はサブプライム危機の勉強もできる面白本

世紀の空売り世紀の空売り
(2010/09/14)
マイケル・ルイス

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『世紀の空売り』は、サブプライム危機に端を発した世界金融危機について、サブプライム・モゲージ債の空売りで大成功した3組をつぶさに描くことで「あの時、何が起こっていたのか」がわかる、面白くかつ興味深い読み物となっている。

著者は元ソロモンブラザーズの社員で、退社後ソロモンブラザーズのトレーダーたちの内情を描いた『ライアーズ・ポーカー』でデビューしたマイケル・ルイス。今回の『世紀の空売り』も面白かったが、『ライアーズ・ポーカー』も劣らず面白かった。

元オッペンハイマーの株式アナリストのスティーヴ・アイズマン、元神経内科医でバリュー株ファンドの運用で成功しつつあるマイケル・バーリ、長期株式オプションで儲け始めていたジェイミー・マイとチャーリー・レドリー、の3組がこの物語の主人公だ。

面白いのはどの人物も変人だということ。スティーブ・アイズマンは人を怒らせる名人だし、マイケル・バーリは人付き合いは苦手だが自分が興味を持ったものにはとことん調査し尽くすアスペルガー障害の持ち主。ジェイミー・マイとチャーリー・レドリーは運用経験もないのに自己資金の運用に乗り出した内気な二人組。やっぱりこういう変なやつじゃないと「人の行く裏に道あり花の山」的な投資行動を取ることはできないんだろうな。

彼らはそれぞれがサブプライム・モゲージ債市場の急激な成長の裏にある虚偽に気づく。サブプライム・モゲージ債が不当に高く評価されているとした彼らは、サブプライム・モゲージ債の値下がりにかけるポジションを取る。彼らはそれでも「本当にこんなことが許されていて誰も気づいていないのか」と不安になり、何度も確かめるのだが、実は投資銀行も格付機関も投資家も誰も本当のリスクについて全く理解していなかったということがわかるのだった。

読み物としても面白く最初から最後までグイグイ読ませるし、サブプライム・ローン、CDO、CSDなどの専門用語についてもとてもわかりやすく書いてあり、証券化商品についてのわかりやすい解説書にもなっている。

本作の著者のマイケル・ルイスは元ソロモンブラザーズの社員だけあって、本作も『ライアーズ・ポーカー』もすごく面白い。ただし金融ノンフィクションしか書けないかと言うとそうではなく、メジャーリーグ経営のノンフィクションである『マネーボール』も非常に面白かった。この3冊はどれも超お勧めのノンフィクション作品です。
ライアーズ・ポーカー (ウィザードブックシリーズ)ライアーズ・ポーカー (ウィザードブックシリーズ)
(2005/12/17)
マイケル・ルイス

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マネー・ボール (ランダムハウス講談社文庫)マネー・ボール (ランダムハウス講談社文庫)
(2006/03/02)
マイケル・ルイス

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あと今年になって読んだノンフィクションは読み物としても面白いし勉強にもなる本が多い。『ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか』は顧客サービスと企業文化について、『フェイスブック 若き天才の野望』はソーシャル・メディアとマーケティングについて、この『世紀の空売り』は証券化商品とサブプライム危機について、それぞれ楽しみながら学ぶことができる。これらの本も読んでいなければ是非読んでみてください。

関連記事
『ザッポス伝説』
http://kaz1116.blog84.fc2.com/blog-entry-33.html

『フェイスブック 若き天才の野望』は超面白本
http://kaz1116.blog84.fc2.com/blog-entry-64.html

仕事での「人と人とのつながり」の重要性を説く『仕事は楽しいかね?2』

仕事は楽しいかね? 2仕事は楽しいかね? 2
(2002/07/26)
デイル・ドーテン

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『仕事は楽しいかね?2』は先日エントリーした『仕事は楽しいかね?』の続編。この続編は組織論やリーダーシップ論についてお話になる。一作目同様、豊富な実例が物語仕立てで語られていてとても面白い。

『仕事は楽しいかね?』での老人の教えに従って昇進した主人公は、昇進したゆえに職場の人間関係について悩みだす。そこで前回、貴重な教えを授けてくれた老人に相談することにする。

老人は

最高の仕事は人間同士の結びつきから生まれるものだ。なのに僕たちはそういう性質を仕事からむしり取ってしまった。

と仕事の定義をし、そのためには

”ほんもの”の上司とは、会うのが楽しみで、きみを高いレベルに引き上げてくれる人
”ほんもの”の部下とは、管理される必要がなく、上司にいい仕事をさせ、部署全体をより高いレベルに引き上げるような部下

 と理想的な上司と部下の役割を説く。すなわち、”ほんもの”の上司と部下は、お互いを管理の苦痛から解放するという。

そして、「”ほんもの”の上司」=「優秀な管理職」の仕事とは、管理することではなく

優れた上司の仕事は、魅力的な職場環境をつくることだ。いい部下を ー つまり、管理する必要のない部下、同僚ばかりか上司さえも向上させる、そんな部下を惹きつける環境をつくることなんだ。

給料よりもっと大切なもの、つまりチャンスと変化が得られることをね。この上司のもとでなら、きっとチャンスに恵まれる、収入ならあとからついてくると信じられるんだ。

部署の管理をうまくやるには、一日中、二つの質問をするだけでいい。
「もっといい方法はないのか?」
「これがきみにできる最善のことか?」


さらに、優秀な人材は待つものではなく探すことが必要だという。

肝心なのは、きみは常に有能な人材を探しているということだ。優れた上司としてのきみの仕事は、優秀なスカウトになることなんだ。そして有能な人材を見つけたら、人間関係を築くことから始める。これぞと思う人物を見つけるのに数年、関係を築くのにもさらに数年かかるかもしれない。


そして”ほんもの”の上司と”ほんもの”の部下の関係は一時的なものにとどまらないと主張する

優れた上司と部下の同盟は才能の結びつきであり、その絆の多くは生涯切れることがない。

優れた上司はただ部下を雇うのではなく、同志を手に入れる。



『仕事は楽しいかね2』の主張を要約すると、優秀な人材を得るためには考えられる限り魅力的な職場を作る努力をした上で、さらに優秀な人材を能動的に探し出す必要がある。そうして出来上がった「人と人とのつながり」(ただし優秀な人同士)は本来的に仕事が持つ重要な要素で、それは職場を変えても生き続ける。

日本でも、会社の中途採用で書類よりもコネクションが重要視されることが多々ある。これは「人と人とのつながり」によって、その人物や信用力や能力を担保しているのに他ならない。自分の経験でも、自分の経験でも仕事でつきあって信頼を持てた人との付き合いは長いしいつでもまた一緒に仕事をしたいと思う。

本書では、それをもっと意識し能動的に積極的に実行せよと説く。たしかに、たまたま同じ職場になった人としかつながりを持てないのではもったいない。今はソーシャルネットワークの存在によって以前より人と人とのつながりを築きやすい環境にあるので、本書の教えをさらに実行しやすくなっていると思う。


最後に、職場を魅力的なものにし優秀な部下に権限委譲するという点では『即戦力の人身術』と通じる部分を多く感じた。『即戦力の人身術』はアメリカ海軍で卓越した指導力を示した元海軍大佐が書いたリーダーシップについての良書。

つねに部下に「きみがしている仕事で、もっとよいやり方はないか?」と聞いてまわったのである。

また私は、部下に仕事を楽しんで行うための提案をするようにも促した。

重要なのは、どんな組織においても、友人たちと楽しむことは、お金では換算できない、はるかに大きな精神的つながりを生み出すということである。

社員が自分の職場を友人に見せたくなるような場所だと考えるようになれば、どんなにすばらしいだろう。


即戦力の人心術―部下を持つすべての人に役立つ即戦力の人心術―部下を持つすべての人に役立つ
(2008/09)
マイケル アブラショフ

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『仕事は楽しいかね?』は読むと元気が出る不思議な本。

仕事は楽しいかね?仕事は楽しいかね?
(2001/12)
デイル ドーテン

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『仕事は楽しいかね?』は読むと元気が出る不思議な本。帯には勝間和代さん推薦の本とあり、単なる自己啓発の本にも見えるが、それだけではなくアイデア発想法の本でもある。

小説仕立てになっていて、起業に失敗した経験を持ち今の仕事に行き詰まりを感じている主人公が、雪で閉鎖になった空港で出会った老人から人生や仕事への取り組み方についての一晩の講義を受けるというストーリー。

老人は一般の自己啓発書にありがちな「目標の設定」や「ポジティブな姿勢」などを否定し

試してみることに失敗はない

と教える。目標を設定すると自己管理ができているような気がするが、人生なんて思い通りにはならないという。そして

明日は今日と違う自分になる

というのをたった一つの目標とすべきだ。毎日毎日、違う自分になるためには試行錯誤を繰り返さなければならない。手当り次第にあれこれやってみる。それを実行するのは大変だけど、わくわくするし<活気に満ちた>方法でもある。

人生は進化だ。そして進化の素晴らしいところは、最終的にどこに行き着くか、まったくわからないところなんだ。


この辺りは以前ブログで紹介した藤原和博さんの『さびない生き方』の「修正主義」や南壮一郎さんの『絶対ブレない「軸」のつくり方』とも合い通じるところがある。

関連記事
『さびない生き方』
http://kaz1116.blog84.fc2.com/blog-entry-15.html
『絶対ブレない「軸」のつくり方』
http://kaz1116.blog84.fc2.com/blog-entry-31.html


そしてイノベーションにおいてもコカ・コーラやトールハウスのチョコチップ・クッキーやリーバイス・ジーンズの例を挙げ、「試行錯誤を繰り返すこと」の重要性を説く。

「何もするな、そうすれば素晴らしいアイデアがやってくるだろう」じゃない。
「<あらゆること>をしろ。素晴らしいアイデアは、どこからやってくるかわからない」ですね。

どのアイデアが最終的に実を結んで、どのアイデアが実を結ばないか、確かめる方法なんてないんだから。できるかぎりいろんなことをとにかくやってみること。そうすれば、そのアイデアがまた別のアイデアを引き寄せる。始めさえすれば、新しいアイデアのほうからきみのもとへ近づいて、飛びついてくるんだ。


さらに、素晴らしいアイデアを見逃さないことが大事だと言う。同じ現象を目にしてもその重要性に気づかず見過ごしてしまうことはよくあることだ。

ただいろんなことを楽しくやって、新しいことを試してみて、いつもしっかり目を開けておいてほしいってことなんだ。


ティナ・シーリグの『20のときに知っておきたかったこと』でも同様な主張がされている。

関連記事
ティナ・シーリグ氏初来日講演会
http://kaz1116.blog84.fc2.com/blog-entry-25.html


具体的なアイデアの出し方については、①問題点のリスト、②仕事に関してやっていることすべてのリスト、③仕事上でやったミスのリストを書き出して、<試す>ためのアイデアを生み出すことを勧める。
①「問題点のリスト」では

困難というのは、一つひとつが実地演習を始める合図だ。試すことは、一つひとつが世の中への問いかけだ。答えというのは、一つひとつが旅だ。


②「仕事のリスト」では

新しいアイデアというのは、新しい場所に置かれた古いアイデアなんだ。

例としては、テレビと雑誌というアイデアを結びつけてテレビ版の雑誌というテレビの新番組を考えだしたTVプロデューサーのケースがあげられている。

③「ミスのリスト」では

ミスというものは隠そうとしがちなものだ。だけどきみはミスを目の前に並べて、しっかり調べないといけない。恥だと思ったり、怒りを覚えたりすることなく、だよ。」

「だれかがへまをやらかしたら、必ず別のだれかが『ポスト・イットを思い出せ!』と叫ぶんだ。するとみんなが、一つの事業にまで発展したスリーエムの不完全な接着剤のことを思い出し、何か役に立つことが思いがけず見つけ出せないかとその過ちのことをじっくり検討し始める。


本書は、人生や仕事への取り組み方からアイデア発想法まで首尾一貫して「試行錯誤」が重要だと教えている。人生もアイデアもあらかじめ計画なんて立てることができない、楽しみながらいろいろトライし続けることが成功への近道だと説く。ルーティーン・ワークに安住しロボット化しやすい我々にとって刺激と元気を与えてくれる一冊と言える。

最後に、小説としては、行き詰まっていた主人公はやる気を取り戻し、老人の教えに従って社内でアイデアを量産し評価され昇進する。しかしその後、主人公は昇進したために職場の人間関係について悩みだす。それを解決するのは本書の続編の『仕事は楽しいかね?2』でのお話となる。

仕事は楽しいかね? 2仕事は楽しいかね? 2
(2002/07/26)
デイル・ドーテン

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『フェイスブック 若き天才の野望』は超面白本

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)
(2011/01/13)
デビッド・カークパトリック

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『フェイスブック 若き天才の野望』はかなり分厚い本だがそれを忘れるくらいめちゃくちゃ面白い。前半は野心にあふれた若者のサクセスストーリー、後半はフェイスブックを代表とするソーシャル・ネットワークとは何かおよびソーシャル・ネットワーク・マーケティングの教科書になっていて、示唆に富んだ内容の本で非常に読み応えがある。

【サクセスストーリー】
この本の前半は、コンピュータおたくの野心にあふれた若者のマーク・ザッカーバーグが大学の寮の一室でアイデアを思いつき、紆余曲折を経ながらも成長するとともにフェイスブックが急速に大きな成功への道を歩む姿を描いている。

印象的だったのは2点で、1点はマーク・ザッカーバーグの一貫した姿勢だ。彼は最初から金持ちになることには全く関心を抱いておらずフェイスブックを成長させて世界を変えるということにしか興味がない。大成功をおさめた今でも質素な家に住み、Tシャツ、ジーンズにサンダルというスタイルを変えていない。

「われわれは世界を変えるんだ」とザッカーバーグがよく口にしていたのを、ブラックは覚えている。「ザ・フェイスブックは世界をもっとオープンな場所にできる」。後年、彼はこの言葉を何度も何度も口にすることになる。

「マークは『ちょいと頑張ってひと儲けしよう』などとは考えていなかった。手っ取り早い儲け話など眼中になかった。それどころか『永続的な文化的影響を与えるようなサービスを建設して世界を征服しよう』と望んでいた」
(ショーン・パーカーの回想)

ザッカーバーグは、サイトのスムーズなユーザー体験を少しでも損なう可能性があれば、たとえどれほど有利な条件の広告であろうと一切許可しなかった。

「ザ・フェイスブックの最終目的は人々が自分の置かれた世界をよりよく理解するための手助けとなることだ」
(ザッカーバーグ)

「われわれにフェイスブックを売らないか?大金持ちになれるぞ」
「今ぼくのアパートを見ただろ。金は要らないんだ。どっちにしても、これから一生かけても、フェイスブックみたいな良いアイデアは二度と思いつけないだろう」
(ザッカーバーグの質素な家を訪れたあとのバイアコムのマイケル・ウルフとザッカーバーグの会話)


2点目はマーク・ザッカーバーグを取り巻く人々だ。フェイスブックが名だたるベンチャー起業家と出会い彼らを魅了し巻き込んでいく過程にワクワクさせられる。以下のような人物がザッカーバーグとフェイスブックに深くかかわる。
  • ショーン・パーカー:ナップスターの創立者
  • リード・ホフマン:リンクトインの創立者
  • ピーター・シール:ペイパルの創立者
  • マーク・アンドリーセン:ネットスケープの共同創業者
  • マーク・ピンカス:トライブの創立者で後にジンガの創立者

またワシントン・ポスト紙のCEOのドン・グレアムとの出会いも印象的だ。アメリカを代表するビジネスマンの一人であるドン・グレアムがザッカーバーグからフェイスブックの話を聞くなり

「すぐにとてつもなくすばらしいビジネスのアイデアだとわかったね」

と見抜く。そしてそれがワシントンポスト紙のビジネスをウェブ化しようとする努力のきっかけになったという。ザッカーバーグのほうも以降、グレアムを敬愛しマネジメントの師と仰ぐようになる。

フェイスブックの仲間たちもザッカーバーグと同じように才能を持ち成長して、フェイスブックを離れた後、成功する。
  • 高校時代からの友人アダム・ダンジェロ:クオラを立ち上げ
  • ハーバードのルームメイトのクリス・ヒューズ:オバマの大統領選挙戦のオンライン戦略チームの幹部
  • ほんの数週間いただけで新会社を作るといって辞めていったスティーブ・チェンが作った会社はユーチューブ

【広告としてのフェイスブック】
フェイスブックはザッカーバーグの理想主義的な考え方もあり長らく収益不足の状態が続くが、そのポテンシャルは以下のように注目されるところだった。

「テクノロジーに詳しく、若く知的な消費者は次第に伝統的なマスメディア広告を見なくなっている。彼らのアイデンティティーは今やオンライン・コミュニケーションにある」
(世界第3位の巨大広告代理店インターパブリック・グループCEOのマイケル・ロス)

実名制に基づく確実な身元情報とその個人に結びついた膨大な情報が組み合わさって、ザ・フェイスブックにはそれ以前のインターネットサービスでは不可能だったユーザーに対する深い洞察を提供することができた。

「メディアはかわります。ここまでの100年間を規定してきたのはマスメディアでした。これからの100年間、情報はただ人々に押しつけられる物ではなくなります。人々の持つ何百万というつながりの中で共有されるのです…。信頼できる友だちから勧められることほど、人に影響を与えるものはありません。信頼できる紹介者は、広告の至高の目標なのです。」
(会社として初めての広告業界のための大型イベントでのザッカーバーグ)


フェイスブックの収益性が大幅に向上したのは元グーグル幹部のシェリル・サンドバーグのフェイスブックへの加入によるところが大きい。彼女がフェイスブックにジョインして収益化についての議論を始めた結果たどりついた、フェイスブックの持つ、機会を明確化し差別化するための重要な特質は

グーグルは、ユーザーが欲しいとすでに決めているものを探す手助けをする。これに対してフェイスブックは、ユーザーが何が欲しいかを決める手助けをする。(中略)グーグルのアドワーズ検索広告は「要求を満たす」。対照的に、フェイスブックは要求を生み出す。グループはそう結論を出した。

この時点以降バナー広告にかわってエンゲージメント広告が主流となる。

「エンゲージメント広告は、インターネットの力をてこにして、マーケターと聴衆の対話を可能にした。これは従来のウェブ上のバナー広告とは大きく異なる。あれは、広告主たちがテレビと印刷媒体で50年間やってきたことーユーザーの体験を恋に中断させるーだ」
(広告マーケターのダン・ローズ)

「われわれはどこよりも質の高い情報を持っている。性別も年齢も場所も知っている。しかもこれは本物のデータであって、誰かが推論したものではない」(中略)フェイスブックのユーザーは、自分たちに関する膨大な量のデータを自発的に提供した上、グループやファンページでほかのユーザーと交流するなど、サイト上での行動を通じてさらにデータを生み出す。フェイスブックは、データベースの中でこのすべてを追跡し、広告の配信に使う。
(シェリル・サンドバーグ)


【世界の仕組みを変える】

ザッカーバーグはハーバード時代から終始、フェイスブックは金儲けやただ会社を作ることには興味を示さず世界を変えることだけを望んできた。

「フェイスブックは国や年齢を問わずあらゆる人々のためにあります。周りの人たちに関する情報を与えることで人々の間の共感が増すはずです」


またザッカーバーグは「贈与経済」について

「これは多くの発展途上国における市場経済に代わる興味深い選択肢です。ぼくが何かを供出して誰かにあげると、義務感からか寛容さからか、その人はお返しに何かをもくにくれる。文化全体がこの贈与経済の枠組みの上で成り立っている。こうしたコミュニティを束縛しポトラッチを有効にしているのは、コミュニティが小さくお互いの貢献が目に見えるという事実だ。ただし、これらの社会がひとたび一定の規模を超えると、システムは破綻する。人々は起きていることを全部見ることができなくなり、ただ乗りが始まる」ザッカーバーグは、今やフェイスブックやインターネット上のほかの勢力は、贈与経済が大規模で機能していくのに十分な透明性を生み出していると言う。
「もっとオープンになって誰もがすぐに自分の意見を言えるようになれば、経済はもっと贈与経済のように機能し始めるだろう。贈与経済は、企業や団体に対してもっと善良にもっと信頼されるようになれ、という責任を押しつける」

「本当に政府の仕組みが変わっていく。より透明な世界は、より良く統治された世界やより公正な世界をつくる」これは、彼の核心をなす信念である。


国務省の重要政策立案スタッフとしてライス国務長官にスカウトされたジャレット・コーエンはフェイスブックのことを

「フェイスブックは世界で史上最も有機的な民主化支援ツールのひとつです」

と評している。

【まとめ】
フェイスブックはザッカーバーグの頑固なまでの理想のもとに進化を続けてきた。ユーザー対象はハーバード大学から全国の大学へ、高校へ、一般への開放。ただの写真付きのプロフィール機能からソーシャル写真、ニュースフィード機能、プラットフォーム化、ファンページの導入、エンゲージメント広告の導入。それに伴ってユーザー数とその滞在時間は等比級数的に増加した。

このようなフェイスブックの成長とそれを中心としたソーシャル・メディアの発展過程をつぶさに俯瞰できる本書は非常に興味深い。しかもそれは今まさに現在進行形で動き続けているエキサイティングな現象で、幸運にもそこに居合わせた我々はこの流れを楽しみつつ参加していくしかないと思う。本書はそのためのガイドブックとしても最適なんじゃないかな。
プロフィール

kaz

Author:kaz
本がとにかく好き。あとはテニス、映画、音楽、デジタル・ガジェットも。iPadラブ。

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